第7回:ゲトラグ社製トランスアクスルに潜む罠
後輪駆動の2シーターに拘って... by 岩館耕一
それが判ったのは車を見に行って契約書に印をつき、その脚で帰宅した夜の事でした。
納車前に968の事を色々知って置こうと思い、関連ホームページを検索。幾つかの、個人
オーナーさんやメンテナンスショップのサイトに行き当たりました。早速、試乗した折り気になっていた、後車軸あたりからのビル風の様な音に就いて、トランスミッションのメカニズムの項やQ&A、他にも関連書物に目を通すと。
あちこちで恐ろしい事が書かれています。FRレイアウトのポルシェ車は変速装置を、通常は一体になっているエンジンから切り離し、後輪のデファレンシャルと一体にしたトランスアクスル方式を執っています。FR車の中でも水冷4気筒のマニュアルミッションモデルでは初代924、セカンドエイジの944ではアウディ製4速/5速ミッション(924のごく一部にポルシェ内製ミッション)が採用されていましたが、最終型となった968では独ゲトラグ社製6速仕様のものが組込まれています。
これがネックで、ゲトラグ社にて組立てられる際、デフのピニオンベアリングを組み付けるプリロード(固定位置出しの為の事前負荷)に調整ムラが有るとの由。適正なプリロードで組み上がっていなかった個体はガタや過剰負荷で最悪、走行中にドライブシャフトが焼き付き固着、後輪がロックする危険アリ!水冷4発の中でも比較的高い頻度で発症する、968特有の持病、とあります。あの音は危険信号、オーバーホール代高いよ、と素敵なダメ押しで締め括られてました。
こんな車選ぼうって人はこの位の事前情報、現車見に行く前に調べ済みなもんです普通は。
家からそう遠くはない場所にFRポルシェも得意としている(リアエンジン車専門工場が
多い)メンテナンス工場を見つけ出す事ができ、納車後あまり走り回らないうちに見て
貰う事にしました。
国道を逸れ少し入った牧歌的な風景の中にたたずむ、そのファクトリーへ到着して早速に試乗検分。「ピニオンベアリング、終わってますね。」このひと言にてトランスアクスルオーバーホール決定!パーツ国内在庫が無く、本国へ発注掛けて貰い、また数週間、なるべく遠出を避け日々恐る恐る運転しながらその到着を待ちます。
待ちくたびれた頃到着の報がもたらされ、早速入庫です。作業自体は中1日で上げて貰えました。オーバーホール完了の連絡を貰い、引取りに赴くと交換して取外されたテーパーローラーベアリングを見せてくれました。「カジリ」と云われる処の、ローラー表面が多孔質の、まるで軽石か珊瑚みたいになってます。ベアリングがこんなひどい状態になっているのを目にしたのは、グリス切れのまま17年無造作に乗られた雨ざらし自転車のペダルをバラシた時以来です。もっともこちらの場合、砕けて粉末になってる玉もありました。
更にもうひとつナイスな物も見せて貰いました。請求書の紙面に踊る、格安だった車両購入価格の、高いパーセンテージに及ぶ数字!
text by 岩館耕一 | 2006.05.19 | [ 後輪駆動の2シーターに拘って... ] | 固定リンク | トラックバック (0)
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