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夢野忠則 旧車EV化計画 ココロードプロジェクト

明るいクルマ生活研究所

2012年4月19日 (木)

ユメノ式中古車の選び方

ゴルフII専門店「スピニングガレージ」(以下、SG)のホームページで
「壱万円ゴルフ」という禁断のバナーをクリックしてしまったクルマ馬鹿は、
いてもたってもいられず、その週末にはSGに向かった...  当然だろう?

A

ガレージの奥で作業をしていた、ニット帽をかぶった今風の青年に声をかけると、
その人が社長のタナカさんだった。

「あのぉ~ 1万円のゴルフに興味があって来たんですけど...」

われながら間の抜けたセルフではある。しかし、ほかに言いようがない。
「一台でも多くのゴルフ2を残していく」というホームページのひと言に魅かれたこと、
そして自分は、「乗り続けるエコだってある」と思っていることなどを告げた。
冷やかしに来たのではない、という思いを伝えるのは、大事なポイントのひとつである。

どうやら壱万円ゴルフは、すべてが同じ場所に展示してあるわけではないらしい。
そりゃ、1万円のクルマのために店頭のスペースを割くことはできないだろう。
ちなみにSGの「壱万円ゴルフ在庫車リスト」には、10台ほどが掲載されている。
何台かは代車として稼働中で、残りは点在するストックヤードに置いてある。

じゃ、見に行きますか。 タナカ社長は、さわやかな笑顔でそう言うと、
お店からいちばん近いストックヤードへと、僕を案内してくれた。

そこには、日本中のゴルフIIが集まったのかと思うほどの数の、ゴルフII!
聞けば、同じようなストックヤードが、ほかにも数ヵ所あるとおっしゃる。
なんつうか...  まるで、ゴルフIIの畑のようだ。

B

ここにあるすべてのゴルフIIが100万円です、と言われれば「そうか」と思うし、
全部が1万円です、と言われたら、それはそれで「そうか」と思うかもしれない。
なにせ、ピカピカに磨き上げられて展示してあるわけではないからね。
収穫されたばかりの大根やキュウリを、畑の真ん中で眺めているようなもので。

でもだからこそ、そのクルマの「ありのままの姿」を知ることができる。
結婚してから妻の素顔を知って驚かされるよりは、いいだろう? 
ストックヤードを、包みかくさずお客に見せるのはSGの良心であり自信の表れだ。

そして、クルマの“ありのまま”を知ることは、中古車選びのポイントでもある。

失敗しない中古車選びは、いかに「愛されたクルマ」と出会うかだと僕は思う。
見た目がきれいとか走行距離が少ないとか、そんなことよりもなによりも、
そのクルマが、前オーナーから「愛されたクルマ」であったかどうかが重要なのだ。

冷たく放っておかれた5万キロより、愛に育まれた10万キロを僕なら選ぶ。
なぜかといえば、クルマは壊れるのではなくて、人が壊すのだと思っているから。
大切なのは見た目ではなく、そこに注がれた「愛」なのだ。
愛が救うのは、地球だけではない。 クルマだって、そうなのである。

探し求めるべきは、オーナーの愛を一身に授かって年月を重ねてきた「愛車」。
だから僕は、大型の中古車センターのような店でクルマを買ったことがない。
店頭にならべられたクルマの過去はベールに包まれて、愛の遍歴がわからない。

愛されたクルマは、オーナーとの永い蜜月の結果、えてして過走行になりやすい。
そして過走行というだけで、査定額は低くなる。注がれた愛情は、加算されない。
つまりオーナーに深く愛されたクルマほど、市場価格は安いのだ。
僕は、そんな中古車ばかりを探し出しては手に入れてきた。 愛の狩人である。

ボディの輝きや走行距離に惑わされてはいけない。 愛されたクルマを探せ!

問題は、その愛を、どうやって確かめるか...  それは、推理するほかない。
推理には情報が必要で、だからピカピカの状態より、ありのままの姿のほうがいい。
ましてや今回のターゲットは、1万円のゴルフ...  失敗は許されない。

C

案内されたストックヤードには、数台の壱万円ゴルフが置いてあった。
それらを順に見せてもらいながら、僕は推理していく。そう、古畑任三郎のように。
あるいは、虫メガネを手に入念に現場検証をする鑑識官のように...
この中から、いちばん愛のつまったゴルフIIを探し出す。 愛の大捜査網だ。

最初に見たゴルフIIは、希少なMT車だった。
ボディに大きなキズはないし、MTなら1万円じゃなくても売れるのではなかろうか、
と思いながら車内をのぞいてみると、うす茶色の犬の体毛がたくさん付いている。
そんなものはクリーニングすれば綺麗になるさ、と言う人もいらっしゃるだろうし、
たしかに綺麗にはなるだろうけれども、ここで僕は、こう推理する...

前のオーナーにとっては、きっとクルマより犬のほうが大事だったのだろうな、と。
もしも犬よりクルマを愛していたなら、車室内が毛だらけのままであるはずがない。
つまり愛を注がれたのは、クルマではなくて犬なのだ...

MTにはそそられるけれども...  残念! 次っ!

次の個体は、あまり距離を走っていないし、エンジンもすごく調子がいいです、
とタナカ社長がおっしゃる。たしかに、走行距離は6万キロにも達していない。
なんで1万円なのかというと、フロントに修復歴があるから(走行に支障はない)。
走行に支障がないなら買い得ではないか、と考える人もいるだろうけど、
気になるのは、リアにできた凹みキズ。 それを見ながら僕は、こう推理した...

前のオーナーさんは、修復されているとはいえフロントをぶつけたことがある...
さらには、車庫入れに失敗して後ろもぶつけていらっしゃる...
どうやら、あまり運転がお上手ではなかったようだ。 ま、それは仕方ない。
仕方ないけど、もしかしたらクルマに対して大雑把な人だったのではなかろうか。
凹んだリアをそのままにして気にならない、というその美意識にも引っかかる...

大雑把な人が、はたしてクルマに小マメに愛を注ぐだろうか...  残念! 次っ!

とまぁ、そんな具合にそれぞれのクルマを検証し、勝手な推理をめぐらせながら、
たどりついた運命の5台目...  見た瞬間に僕は、こいつだと確信した。

愛に育まれながら年月を重ねてきたクルマは、立ち姿からしてシャンとしている。
たとえボンネットのクリアは剥げていても、気立ての良さが伝わってくる。
その直感は、もはやベテラン刑事のそれであり、第一印象はきわめて重要である。

はたして乗り込んでみると、22年前の20万キロ近くも走ったクルマとは思えぬほど
内装の状態がいい。ダッシュボードは傷んでいないし、シートもへたっていない。
天井が汚れていないし、トランクルームもきれい。室内には、いやな臭いもない。
僕は自分の直感を、こう裏付ける。 前オーナーは、マメな人だったに違いないと。

マメな人だから、このクルマにもマメに愛情を注ぎ込んできたはず... 証拠もある。
グローブボックスの中に、きちんと整理して保管された整備記録簿がそれだ。
記録簿の役割は、そのクルマがどんな整備をされてきたかを記録するだけではない。
そのオーナーの人柄や性格、クルマに対する愛情の深さまでも伝えてくれるのだ。

うん。  僕の新しい相棒は、こいつだ。

D

濃紺のゴルフIIの運転席から降りると、僕はタナカ社長に告げた...

これに、決めます。

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夢野忠則/プロフィール
クルマ馬鹿サイト「BACCARS」主宰、NPO法人ココロードプロジェクト 理事。
2005年より、ほぼ毎日書き続けるブログ「夢野忠則のクルマ馬鹿で結構!」は、
楽天ブログ(クルマ・バイク部門)でアクセス数日本一を記録。
クルマで「人」「地域」「環境」をつなぐ「COCOROAD PROJECT」を推進中。

BACCARS → http://www.baccars.com/
ココロードプロジェクト → http://www.kurutabi.jp/
※NPO法人ココロードプロジェクトでは活動を支援してくださる会員を広く募集しています。

text by 2012.04.19 | | 固定リンク

2012年4月 6日 (金)

そこは、バラ色のドロ沼か...

前回は、ゴルフIIを購入するにいたった理由について、くどくどと書いた。

クルマを買うのに、その理由を探しいちいち説明するのはクルマ馬鹿の特徴である。
普通の人の場合は、クルマを手に入れる理由が先にある。
家族が増えたからミニバンを買おうとか、スキーに行くから四駆が必要だとか...

でも、クルマ馬鹿はそうじゃない。「クルマが欲しい!」という欲求が、まずあって、
それを正当化するために、あとから理由(屁理屈)を、あれこれ見つけ出してくる。
乗り続けるエコだってあるはずだ! なんてさ(笑)

なんで欲求を正当化する必要があるのかといえば、うしろめたいから。
だって、そこにはそのクルマを手に入れなければならない必然性などないのだから。
じゃ、買わなきゃいいじゃないと思うのは健全な人で、それが通じないから馬鹿なのだ。
僕なぞは、いつもクルマを探しているのではない。 年中、理由を探しているのである。

若者の関心をひくためにも、まずはオヤジがスポーツカーを楽しんでみせるべきだ!
と主張しながらハチロクのカタログを眺めている人が、僕のまわりにはたくさんいる。
はたして、そんな理由が奥さんに通じるのか...  健闘を期待するほかない。

さて、ゴルフIIである。  理由探しの旅の終わりは、いつも突然にやってくる...

A1

きっかけは、LOVECARS!仲間で、ゴルフII乗りのNさん。
ゴルフII専門「スピニングガレージ」というショップが面白い、とおっしゃる。

場所を聞けば、娘が学生時代に暮らしていたアパートの、目と鼻の先ではないか。
ただの偶然を「運命論」的に展開したがるのも、クルマ馬鹿の大きな特徴のひとつで、
おぉ、これはクルマの神さまのお導きに違いない、なんて無神論者のくせして。

さっそく「スピニングガレージ」のホームページをのぞいてみる。
もとより、ゴルフIIは大好きなクルマである。 理由なら、いくらでもある(笑)

ボディが四角くてヘッドライトが丸いクルマに悪い奴はいない、というのが持論で、
さらには1990年前後の(今となっては)ネオクラシックなクルマたちこそが、
クルマらしいクルマとしての魅力にあふれた最後のゴールデンエイジではなかったか、
と僕は思っている。好きなクルマはみんな90年前後に終わり、そして生まれている。

その後のクルマの進化とは、安全性能やら環境性能やら燃費やら生産効率やら...
理由を探してまで手に入れたくなるようなクルマは、どんどん消えていってしまった。
その結果どうなったかといえば、エコのためにクルマを買い替えましょうなんて、
そんな馬鹿げた理由は、クルマ馬鹿ですら思いつかないぜ。

B2

話が逸れた...  「スピニングガレージ」(SG)のホームページである。

  →  GOLFII好きの人生が楽しくなるお店 SPINNING GARAGE

ようするに、ゴルフII馬鹿によるゴルフII馬鹿のためのショップである。
いいじゃない。これからの時代の商売は、“広く浅く”か、“狭く深く”のどっちかだ。
そしてクルマ馬鹿がおちるバラ色のドロ沼は、いつの世にも狭く深いと決まっている。

このホームページのなかには、さらにドロ沼にどっぷりつかってみませんか、
という悪魔の甘い吐息のようなトラップが仕掛けられていた。それが、壱萬円ゴルフ。

罠だと知りつつ、その禁断の扉を開いてしまうのがまたクルマ馬鹿たるゆえんであり、
僕は、まんまとそのバナーをクリックしてしまい、そして...

あっさりと、恋に落ちた。 壱萬円ゴルフに。

  →  え!? たった1万円でゴルフIIに乗れるの? 壱萬円ゴルフ

「 一台でも多くのゴルフ2を、残していく 」 それを実現するために...
この1行を目にした瞬間、僕は、自分が探し求めていた理由に巡りあえたと思った。
乗り続けるというエコだってあるはずだ、という思いへの回答である、と。

馬鹿だよね(笑)

クルマ馬鹿たるもの、理由さえ見つかれば、そのあとの行動は早い。
まずは壱萬円ゴルフとやらを実際に見てみようと、その週末にはSGに向かった。

C1

車両販売価格、9,524円(税別)... こんなクルマの見積もり、見たことある?
どんなクルマだって?  それは、次回のお楽しみ...

ひとつの旅が終わり、また新たな旅がはじまる。 行きつく先は、バラ色か?

 

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夢野忠則/プロフィール
クルマ馬鹿サイト「BACCARS」主宰、NPO法人ココロードプロジェクト 理事。
2005年より、ほぼ毎日書き続けるブログ「夢野忠則のクルマ馬鹿で結構!」は、
楽天ブログ(クルマ・バイク部門)でアクセス数日本一を記録。
クルマで「人」「地域」「環境」をつなぐ「COCOROAD PROJECT」を推進中。

BACCARS → http://www.baccars.com/
ココロードプロジェクト → http://www.kurutabi.jp/
※NPO法人ココロードプロジェクトでは活動を支援してくださる会員を広く募集しています。

text by 2012.04.06 | | 固定リンク

2012年4月 2日 (月)

ゴルフ、はじめます!

この「明るいクルマ生活研究所」がスタートしたのは、2009年10月...
その記念すべき第一話のタイトルは 「 乗り続ける、というエコだってある 」 だった。
そこには、こんなことが書かれています...

> CO2を削減していくために、経済的なことも含めて、
> みんなでエコカーに“乗り替えよう”という意見について否定するつもりはありません。
> けれども乗り替えるということは、それまで乗っていたクルマを“捨てる”ということ、
> さらには、新たにクルマを“製造する”ということであって。
> そこには廃棄するための、あるいは製造するためのエネルギーだって費やされるはず。
> 「MOTTAINAI」という概念との整合性は、どうなん? そう思ってしまうわけです。
 
> 自動車メーカーさんのご都合やらなにやら、いろいろな事情はあるにせよ...
> クルマが大好きなクルマ馬鹿としては、声を大にしてつぶやいておきたい。
> 乗り替えるのがエコな行いなら、いつまでも乗り続けることだってエコだろう、と...

  →  乗り続ける、というエコだってある(2009.10.27)

そして、「乗り続けるエコ」の新しい具体的なアイデアのひとつとして
明るいクルマ生活研究所は、普通車を電気自動車に改造する「EVコンバート」に注目、
全国各地で、手づくりでそれに挑戦されているさまざまな方々の、
それぞれにユニークなコンバートEVを取材させていただいてきたのでした。

EVデロリアン、ビートルEV、エスハチEV、チンクEV、シティ・カブリオレEV、etc...

Yumeno1

どのEVも興味深く楽しいクルマだった(詳しくは、バックナンバーをご覧ください)。
自分たちでもEVコンバートに挑戦しよう! という企画もあったのだけど、
資金がうまく集められずに断念...あ、正確には中断です。あきらめたわけではない(笑)

ともあれ当研究所では、未来に向かって「明るいクルマ生活」を持続させいくために、
つまりは、大好きなクルマにこれからもずっと乗り続けていくためには、どうする?
というテーマのもと、いろんなクルマを取材したり考えたりしてきたわけであります。

そして、とりあえずたどりついた結論は...
大切なのは、エコ(=現実)とエゴ(=夢)の調和である、ということ。

乗り続けていくために大切なことは、クルマのある生活を楽しむということではないか。
そしてその生活を楽しむためには、もっともっといろいろな方法があるはずで、
エコが時代の要求であったとしても、だからといって、それが個人の楽しみ(エゴ)を
抑制すべきものではないし、個々人がクルマのある生活を楽しむことで、結果的に
クルマを大切にし、それに乗り続けるなら、それはエコな車会の実現につながるはずだ。

それじゃ新車が売れないから困る、なんて言っている場合ではありません。
10年も20年も、ユーザーが乗り続けたいと思えるようなクルマを作っていかないと、
その楽しみ方を提示していかないと、10年後20年後には、だれもクルマに乗ってない。

乗り替えることから、乗り続けることへ...  クルマのある生活を、もっと楽しむ。
そのさまざまな楽しみ方に、明るいクルマ生活研究所はこだわっていきたい。
もっと大げさに言うなら、その先に、この国のクルマ文化が芽ばえるのだと思うから。

さて、ご報告です...

それを実践していくために、この春から“研究車両”を一台導入することにしました。
明るいクルマ生活研究車両(笑) そのクルマは、フォルクスワーゲン・ゴルフ。
1990年製、走行177000キロ(推定)... 車両価格1万円(!)のポンコツであります。

C

VWさんもCMで、「良いものを永く使う... それが本当のエコ」とおっしゃっている。
そのメッセージに共感するから、エコカー減税で新しいゴルフに乗り替えるのではなく、
旧~いゴルフを引っぱり出してきて、それに乗り続けてみようと思う(笑)

誤解なきよう書き加えておきますが、なにも新しいクルマを否定するのではありません。
旧くたって、たとえ1万円だって、どんなクルマだって楽しみ方はあるはずだ、と。

さてさて、旧いゴルフとの、新しいクルマ生活...
はたして、それは明るいものになっていくのか、どうなのか...  乞う、ご期待!

D

まずは次回、1万円ゴルフとの出会いから...

 

 

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夢野忠則/プロフィール
クルマ馬鹿サイト「BACCARS」主宰、NPO法人ココロードプロジェクト 理事。
2005年より、ほぼ毎日書き続けるブログ「夢野忠則のクルマ馬鹿で結構!」は、
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クルマで「人」「地域」「環境」をつなぐ「COCOROAD PROJECT」を推進中。

BACCARS → http://www.baccars.com/
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※NPO法人ココロードプロジェクトでは活動を支援してくださる会員を広く募集しています。

text by 2012.04.02 | | 固定リンク




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